
【CRM_vol.1】CRMは本当に必要なのか
はじめまして、ダイオープリンティング(株)通サポ編集部の端本です。
化粧品や健康食品の通販では、ほとんどの企業がリピートを増やすためにCRMを活用されています。しかし、なかなか結果が見えないなど、多くの課題もあがっています。
今、CRMの現場で何が起きているのか、CRMの壁を打ち破るためには何が必要なのか。
通販マーケティング歴20年以上の通販ディレクターA氏と、デザイン制作会社のS氏と共に、問題点と対策を探ります。
<目次>
目次[非表示]
- 1.新規獲得から囲い込みヘシフト
- 2.リピート購入のための大切なポイント
- 3.CRMの落とし穴
- 4.CRMの効果を高める3つのポイント
- 4.1.【1】年代別にCRMの内容を分ける
- 4.2.【2】掲載する情報に目的を持たせる
- 4.3.【3】オファーは購入する必然性や競合との差別化のために
- 4.4.プロフィール
- 5.まとめ
- 6.通サポの「3つの力」
新規獲得から囲い込みヘシフト
端本:通販のクライアント様から「CRMの効果が思うように出ない。定期離脱者が減らない。何とかできないか」というご相談がよくあります。また、結果がかんばしくないことから「そもそもCRMは必要なのか」と疑問をもたれる方もいらっしゃいます。
A氏:そうですね、CRMは取り入れているものの、費用対効果が見えやすく、売上に直結する新規顧客獲得に重きを置いている通販企業がまだ多いように思います。
S氏:確かに制作のご依頼も、CRMは1回まとめて作ったら終わりで、LPやバナーのPDCAをたくさんされているクライアントが多いように感じますね。
A氏:CRMはどうしても効果検証に時間がかかったり、検証するだけの母数を確保できてなかったり、そもそも検証の仕方が分からなかったりと、おざなりになりやすいのは事実です。
多くの通販企業で悩まれているCRMですが、結論から申し上げるとCRMは不可欠です。
ここでいうCRMとは、単にステップメールをうつ、商品説明チラシを同梱するだけの
従来の手法ではなく、複合的に情報を発信したりコミュニケーションを図ることを指します。
その具体的な方法は、第2回以降にお話しするとして、単品リピート通販は、リピート購入してもらわないと広告で投資した分の利益を回収できません。10年以上前は一発回収ができて、投資すればするほど儲かったということもありましたが、今は新規獲得が難しい傾向にあるため、ますますCRMの必要性が高まっているのです。
リピート購入のための大切なポイント
端本:利益確保のためには既存客のリピート購入がカギとなるわけですが、何を訴求すれば購入に至るのでしょう。
A氏:1つは「商品アピール」です。化粧品や健康食品は多くの商品が市場に溢れ、自社商品がどこよりも優れているNo.1商品であることは少ないと思います。たとえ、独自の効果や成分があっても、「競合」にすぐに真似されて類似商品や広告が出回るスピードが早くなっています。
ですから、大きな差別化はできなくても、自社商品の良さ・品質の高さをきちんと顧客に伝えることが重要になります。
S氏:確かに、化粧品のLPでお試し500円・送料無料で購入された方は、価格に惹かれての購入ですから、商品のことをよく理解していない。「お得に買って満足」で終わってしまうため、リピートに結びつかないとお困りの企業が多いです。
CRMで商品の良さや正しい使用法を伝えてあげないと、効果実感も少ないため、本品購入に至らないのです。
A氏:2つめが「顧客とのコミュニケーション」です。ネット環境が発達した今、他の商品と比較されてすぐに浮気をされてしまいます。
浮気されないためには、継続的に顧客とコミュニケーションを取り続け、自社商品やブランドを好きになってもらう必要があります。
S氏:制作の現場でも、「どうしたらファンになってもらえるか」を一番に考えています。
「皆さま」ではなく「あなた」、人ごとではなく「あなたのお悩みは私たちのお悩み」、あるいは「そろそろ実感されているのでは?」など気づきを促すなど。
共感・信頼してもらえるコンテンツや表現方法でアプローチし、継続的にコミュニケーションを取り続けることは大切だと感じます。
A氏:CRMは好きな人に自分のことを知ってもらい、好きになってもらうためのラブレターだと思うんです。だから、最初に「私たちはこういう会社です」という挨拶は肝心だし、「こんなにあなたのことを思っている。商品のいいところはここです」と自分のことをプレゼンするのは当然。
商品以外にもショップやブランド、そこで働いている人のファンになってもらう活動=CRMが、継続的にお付き合いいただけるか否かの重要なポイントとなるでしょう
CRMの落とし穴
端本:CRMの効果が出にくい要因は、企業ごとに異なると思いますが、現場ではどう感じていますか。
A氏:CRMは「One to One マーケティング」ですから、本来は緻密な戦略でなければなりません。しかし、多くの企業とCRMに取り組む中で、そこまでに到っていない企業が多いと感じています。効果が出ないという企業には、次のことを再確認していただきたいと思います。
S氏:今までの慣例やコストの関係で、なかなか踏み込めないということもあるかと思います。ただ、立派なツールが揃っているものの、メーカー視点で作られているため顧客にわかりにくい、初回同梱に必要のないものが入っているなど、制作から見ても気になる点がたくさんあります。
端本:では、具体的にどのような改善が必要でしょう。
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CRMの効果を高める3つのポイント
A氏:やはり顧客一人ひとりに合わせた施策が大切です。全てを一気にはできないかもしれませんが、1つでもできるところから始めていただきたいですね。
【1】年代別にCRMの内容を分ける
設定したターゲットに合わせてLPを作ることはあっても、実際に獲得した年齢層に合わせてCRMを出し分けたりすることはなかなか達成できていない。
また、顧客と長くお付き合いが続けば、顧客も5歳10歳と歳を重ね、変化し続ける。
あるオールインワンジェルの通販会社では、全年代同じ訴求だったクリエイティブをF1層にはニキビ訴求、F2層以上にはシミ訴求に出し分けたことでレスポンス率が30%以上向上した事例がある。
オールインワンは「あれもこれもできる」と謳いがちですが、なんでもできるからこそ、年齢によって異なる肌悩みに合わせて、同じ商品でも見せる角度(=訴求)を変えた結果、効果が得られた。悩みや欲しい商品の違い以外にも、世代によって読みやすいフォントやフィットするデザイン、構成は異なる。
【2】掲載する情報に目的を持たせる
顧客が「読んでくれるはず」という期待をせず、「読んでもらえない」ことを前提にした上で、顧客情報の分析やコールセンターの声の吸い上げ、ヒアリングなどを行い、何を掲載すれば効果があるか、目的を持つことが大切。
美容液を扱うある通販会社では、「商品余り」が理由で定期解約率が高いという課題があり、当初はさまざまなユーザーボイスを入れて、お客様の気持ちをあげることで使用を促す戦略をとっていた。
しかし、ふたを開けてみると商品が余る理由は使用していないのではなく、もったいなくて1回に使用する量を抑えていたためであることが分かった。
そこで、ユーザーボイスは最低限に抑え、1回の使用量の違いによる肌への効果の違いを計測したグラフを掲載したところ、2回目と3回目のリピート率が10%以上改善した。
顧客の実態を正確に把握し、顧客が悩んでいることや知りたい情報を目的を持って掲載することが大切であることが分かる。
【3】オファーは購入する必然性や競合との差別化のために
「とりあえず送料無料の方がいいよね」「プレゼントをつければリピートしてくれるのでは」「サンプルつけて試してもらえば、何%かの人は次買ってくれるかも」と安易に考えて特典を乱用している通販企業が少なくない。仮にリピートしてくれても一時的。商品単価に対して送料無料がお得と感じてもらえるのか。なぜその特典をつけるかを考えて付与することが大事。
S氏:この中で「【1】年代別にCRMの内容をわける」の年代に合わせるというのは痛感しています。顧客とのコミュニケーションがうまくてリピートに結びつけている企業は、例えば50代以上の顧客であれば大きな文字、親しみやすいデザイン、写真を多用するなど、細かいところまで気を配っています。
A氏:CRMはある程度の型があっても、買ってくれた商品やそのショップの品揃え、そして顧客特性によって千差万別であるべきで、他社を真似して成り立つものではありません。
しかし、CRMは効果検証に数カ月か要したり、コストもかかり、その上効果が分かりづらいことから、一回作って検証しないまま流している企業も多いのです。
CRMの成功=単品リピート通販の成功といっても過言ではありません。
だからこそCRMの確立は不可欠で、辛抱強く考えぬきやりきることが大切でしょう。
プロフィール
A氏
化粧品、健康食品通販メーカー、化粧品OEM企業に勤務を経て独立。20年にわたり事業計画、商品企画、新規獲得、CRM戦略、バックヤード設計・運用など通販事業の運営に必要なすべてのセクションに従事。独立後は化粧品、健康食品をはじめ多数の通販企業の立ち上げから事業支援による事業収益改善に携わる。
S氏
デザイン制作会社にて30年にわたりセールスプロモーションツールを制作。ここ15年は化粧品、健康食品をメインとした新規獲得やCRMの制作に携わる。
まとめ
新規顧客獲得が難しく、CPA・CPOが限界になる現在、CRMの必要性・重要性がますます高まっています。効果を高めるためには自社独自のCRMを行い、顧客特性に合わせたきめ細かいアプローチを長期的に継続することが成功のカギといえるでしょう。
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